歯医者が教える『関連痛』の謎―なぜ痛みが違う場所に出るの?

こんにちは。桶川市の手代木歯科医院院長の手代木です。

皆さんは「歯が痛いから歯医者さんに行ったのに、思っていたところとは違うところが痛い…」こんなことを経験したことはありませんか?

実は、歯の痛みは、必ずしも歯そのものに原因があるとは限りません。今回は、「関連痛」について、詳しく解説していきます。

目次

関連痛とは?

歯のイラスト

関連痛とは、痛みの原因がある場所とは異なる部位に痛みを感じる現象のことです。歯科では、実際に問題のある歯とは別の歯や、顔の他の部分などに痛みを感じることがあります。

〈よくある関連痛のパターン〉

・上顎の歯の痛みと副鼻腔の関係
上の奥歯の痛みを感じる場合、実は副鼻腔炎が原因であることがあります。逆に、上の奥歯に問題があるのに、頬や目の周りに痛みを感じることも・・・。

・歯と頭痛の関係
奥歯の噛み合わせの問題が、こめかみの痛みの原因となることがあります。また、顎関節症による頭痛を、歯の痛みと勘違いすることも少なくありません。

・歯と耳の痛みの関係
親知らずの炎症により、耳の周辺に痛みを感じることがあります。逆に中耳炎による痛みを、歯の痛みと感じることもあります。

なぜ関連痛が起こるの?

関連痛が起こる主な理由は、神経の走行の複雑さにあります。顔面には三叉神経という大きな神経が走っており、この神経は歯や顔面の感覚を脳に伝えています。この神経の枝分かれが複雑なため、痛みの信号が別の場所からのものと誤って認識されることがあるのです。

神経は「情報の高速道路」

私たちの体には、痛みを伝える神経が張り巡らされています。これは、ちょうど道路網のようなものです。特に顔の部分には、「三叉神経」という太い神経(大きな幹線道路のようなもの)があり、ここから細かい枝分かれ(生活道路)が顔のいろいろな場所に伸びています。

「渋滞」が起きると?

この神経という道路で、強い痛みの信号が多く発生すると(交通渋滞のように)、近くの別の道にも影響が及ぶことがあります。

例えば
・奥歯の痛みの信号が強すぎると → 近くを通る耳や副鼻腔の神経にも影響
・副鼻腔の炎症による信号が強いと → 上の歯に行く神経にも影響

お風呂で足の小指をぶつけた時のことを想像してください。最初は小指だけが痛かったのに、だんだん足全体が痛く感じてきた経験はありませんか?これと同じように、歯の痛みも周囲に広がることがあるのです。

関連痛の特徴

・痛みの場所が移動することがある
・痛みの強さが変化する
・原因となる場所を押すと、離れた場所も痛くなる

関連痛があるときの対処法

①まずは歯科受診を
・痛みの原因特定には専門医による診察が必要です。
・レントゲン検査で見えてくることも多くあります。

②詳しい症状をメモしておく
・いつ痛みを感じるか
・どんな種類の痛みか(ズキズキ、ジンジンなど)
・痛みの強さの変化
・痛みの場所の移動の有無

③応急処置
・冷やす・温めるなどの対処は、原因がわかってから行いましょう。
・市販の痛み止めで一時的に和らげることはできますが、根本的な治療は必要です。

予防のために

歯科検診を受けている女性の画像

・定期的な歯科検診を受けましょう
・違和感を感じたら、早めに受診することをお勧めします
・日々の丁寧な歯磨きを心がけましょう

最後に

関連痛は診断が難しく、患者さん自身も混乱することが多い症状です。はっきりとした原因がわからない痛みにお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。経験豊富な歯科医師が丁寧に診察・治療させていただきます。

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