知られざるヒーロー!だ液が担う7つの大切な役割 〜お口の健康を支える天然の守護神〜

こんにちは。桶川市の手代木歯科医院の院長の手代木です。

今回は、普段あまり意識することのない「だ液(唾液)」について、詳しくお話ししたいと思います。

目次

はじめに

みなさんは、一日にどれくらいの量のだ液が分泌されているかご存知でしょうか?実は、健康な成人で1日に約1.0〜1.5リットルものだ液が分泌されています。これはペットボトル1本分以上の量になります。この大量のだ液は、私たちの口の中で様々な重要な役割を果たしています。

だ液とは

だ液は、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの大きな唾液腺から分泌される体液です。その成分の99%は水分ですが、残りの1%には、タンパク質(アミラーゼやリゾチーム)、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム)や免疫物質(抗体のIgAやラクトフェリン)など、様々な有用な物質が含まれています。

だ液の分泌量は一定ではなく、食事の際や香りを感じた時に増加します。また、緊張したり不安を感じたりすると一時的に減少することがあります。睡眠中は最も分泌量が少なくなります。

だ液が果たす7つの重要な役割

⦁ 消化を助ける
だ液に含まれる消化酵素の「アミラーゼ」は、デンプンを分解する働きがあります。食べ物を噛んでいる時点で、既に消化が始まっているのです。また、だ液で食べ物が適度に湿り気を帯びることで、スムーズな嚥下(飲み込み)が可能になります。

⦁ 細菌から守る
だ液には、リゾチームやラクトフェリンなどの抗菌物質が含まれています。これらの成分が、お口の中の細菌の増殖を抑制し、感染を防いでいます。

⦁ 虫歯を防ぐ
だ液には、歯を溶かす酸を中和する作用があります。食後に口の中のpHが下がっても、だ液の働きによって徐々に正常な状態に戻ります。また、歯の再石灰化を促進する作用もあり、初期の虫歯を修復する力も持っています。

⦁ 粘膜を保護する
だ液に含まれる粘液性のタンパク質は、口腔内の粘膜を保護する働きがあります。この保護膜により、細菌の侵入や物理的な刺激から粘膜が守られています。

⦁ 味覚を助ける
私たちが食べ物の味を感じるためには、だ液が必要不可欠です。だ液に溶けた物質が味蕾(みらい)に届くことで、味を感じることができるのです。だ液が少ないと、味覚が鈍くなることがあります。

⦁ 発声をスムーズにする
だ液は、口腔内を適度な湿潤状態に保つことで、スムーズな発声を可能にしています。だ液が少ないと、話しにくくなったり、声がかすれたりすることがあります。

⦁ 傷の治りを促進する
だ液には、傷の治りを促進する成長因子が含まれています。口内炎などができた時も、だ液の作用により治癒が進みます。

だ液の分泌が減少する原因

だ液の分泌が減少する原因には、以下のようなものがあります。
加齢による唾液腺の機能低下や、薬の副作用によるもの、ストレスや全身疾患の影響などが挙げられます。特に、高血圧の薬や睡眠導入剤、抗うつ薬などは、だ液の分泌を減少させる可能性があります。

また、放射線治療や自己免疫疾患によって、唾液腺が障害を受けることもあります。

だ液を増やす方法

だ液の分泌を促す方法として、以下のようなものがあります。

咀嚼(そしゃく)をしっかりと行うことは、だ液の分泌を促す最も効果的な方法です。よく噛んで食事をすることを心がけましょう。また、ガムを噛むことも効果的です。ただし、糖分を含まないものを選ぶことが大切です。

水分をこまめに摂取することも重要です。特に、食事の際にはゆっくりと噛みながら、適度に水分を取ることをお勧めします。

マッサージも効果的です。耳の前や顎の下の唾液腺をやさしくマッサージすることで、だ液の分泌が促されます。

気をつけたい生活習慣

女性の画像

だ液の健康を保つために、日常生活での注意点があります。

喫煙は、だ液の分泌を妨げるだけでなく、だ液の質も低下させます。タバコに含まれるニコチンは唾液腺の働きを抑制し、また口腔内の血流も悪くします。禁煙することで、だ液の分泌量と質は徐々に改善していきます。

口呼吸は口腔内を乾燥させやすく、細菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。就寝時も含め、できるだけ鼻呼吸を心がけましょう。口呼吸が習慣化している場合は、耳鼻科での診察もお勧めします。

また、カフェインの取りすぎは体の水分を奪い、結果的にだ液の分泌も減少させます。コーヒーや紅茶は1日2〜3杯程度を目安とし、飲む際は水分も一緒に摂るようにしましょう。また、アルコールの過剰摂取も口腔内を乾燥させる原因となります。

まとめ

だ液は、私たちの口腔内で様々な重要な役割を果たしている、まさに「隠れた守護神」といえます。その分泌量が減少すると、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、日常生活の質にも影響を及ぼす可能性があります。

日頃からだ液の働きに感謝しながら、適切な生活習慣を心がけることで、お口の健康を守っていきましょう。

お口の乾燥でお悩みの方は、ぜひ一度、手代木歯科医院にご相談ください。一人一人の状態に合わせた適切なアドバイスをさせていただきます。

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